リスクアセスメントとは

 

作業するときに周囲の環境や状況、道具などのどこかに危険性(リスク)があるから労働災害が発生するのであって、前もってこの危険(リスク)を排除、または低減させることで災害が起きない、起きたとしても軽い被害にするために行う先読みの安全対策です。

 

     

  • 危険性または有害性の特定
  • リスクの見積もり
  • 優先度の決定
  • 低減措置の検討と実施

危険性、有害性の特定

リスクアセスメントは、まず危険性または有害性を特定することからはじめます。

 

その際は以下のポイントに注意しましょう。

 

作業を区切れる単位で区分すること

例として「クレーン」や「溶接」というように作業を区分します。

さらにわかりやすい作業単位に細分化する

  • クレーン作業
  • 「玉掛け」、「地切り」、「架設」

  • 溶接作業
  • 「グラインダー」、「仮付け」、「本溶接」

または適当にわかりやすい作業名をつけましょう。

「~のとき、~なので、~して、~になる」という形で文章にして書き出す

語尾を同じにする必要はありません。
例えば

 

「クレーン作業時、吊荷に集中していたので開口部に気づかず、足を踏み外して、転落する」

 

あらゆる可能性を考慮する

起きるわけがないという先入観は捨てて人間とはミスをする生き物だし、作業中に機械が故障するかもしれないというように色々な可能性を考慮して危険なポイントを探すこと。

リスクの見積もり

文章にしてまとめた危険のポイントに対して、リスクの大きさを見積もります。

 

リスクアセスメントの評価方法の表にあるようにリスクの重篤度と可能性からリスクの優先度を決めていきます。

 

職長など作業内容について一番よくわかっている人が中心になってみんなの意見を聞いて調整しながらリスクを見積もっていきます。

 

リスクを見積もる際は以下のポイントに注意しましょう。

重篤度の評価は考えられる最悪の場合を想定すること
可能性の評価は危険性、または有害性に接触、または接近して災害になる度合い

この可能性の評価がかなりわかりにくいので個人的な見解で説明させてもらいます。例えば特定した危険性が

 

「資材運搬中、急いでいたので、足元の段差に気づかず、転倒する」だった場合、危険性は段差です。

 

この「段差」に近づいたり接触したりしたときに災害になる可能性を評価せよということだと思いますが、わかりにくすぎるので文章にしてまとめた危険性が実際に起こる可能性でいいかと。

見積もりの値は平均を取るのではなくみんなで話し合い調整していくこと

リスク低減措置の検討と実施

KY活動とリスクアセスメントの大きな違いは、この危険への対策の考え方にあります。
従来のKY活動は、例えば高所から転落する可能性のある作業なら安全帯を使用する、というように危険性に対して保護具で対応しようという考え方が一般的でした。

 

リスクアセスメントでは危険性や有毒性のある作業を、計画や手順の変更などで取りやめることができないか見直すことから始めます。

 

それができない場合は柵や手すり、囲いなどの安全設備対策で危険に近寄れない、または触れないようにできないか検討します。

 

それらのリスク低減措置を実施しても排除にまで至らなかった危険性(リスク)は「残留リスク」として残ります。「残留リスク」への最後の対策として作業員個人が使用する保護具の使用がでてきます。

 

リスクアセスメントにおいて、優先すべきは危険性(リスク)の排除、または低減させることです。