熱中症の症状

建設業で働く人たちにとって、熱中症の危険は常に隣り合わせにあるようなものです。密閉された風通しの悪い空間や炉の中、炎天下の鋼板の上など過酷な環境下での作業も多いため夏が終わってもまだまだ油断はできません。熱中症は放っておくと命にかかわる場合もあるので自身の体のサインを見逃さないようにしましょう。

熱中症には大きく分けて以下の3種類の状態があり、下に行くほど症状が深刻になっていきます。

熱けいれん

熱けいれんは軽度の熱中症で激しい運動などで大量に汗をかいたときに水分だけを多く摂取すると血中の塩分が薄まってけいれんが起こります。

 

症状: 筋肉痛、筋肉のけいれん、手足がつる

 

熱疲労

熱疲労は熱けいれんからさらに重症化した状態で心拍数や呼吸数も上昇し血圧はさがり意識を失うこともあります。

 

症状: めまい、ふらつき、頭痛、吐き気、おう吐等

 

熱射病

熱射病は熱中症の中でも最も重症化した状態です。迅速に治療をしないと80%の確率で死に至り生存者の20%で脳が損傷するといわれています。

 

症状: 熱疲労と同様の症状に加え40度を超える体温、錯乱や昏睡

応急処置

熱痙攣、熱疲労の応急処置

エアコンのきいた涼しい場所で休息をして、濡れたタオルや保冷剤をあてて体を冷やします。スポーツドリンクか小さじ2杯ぐらいの塩を1~2リットルの水に溶かして飲みます。

熱射病の応急処置

ただちに救急車を呼ぶべきです。救急車が到着するまでの間、近くに湖や川などがあれば体を浸して冷却しましょう。ない場合は体を濡らして扇風機の風を当てて蒸発冷却で体を冷やします。ただしあまりに冷たい水を使うとふるえによって熱生産がおきる可能性もあるので注意しましょう。

現場環境から考える熱中症対策

熱中症は重症化する前に速やかに水分補給と涼しい部屋での休息が必要ですが現場によっては近くにエアコンのきいた場所がないことがあります。その場合は作業車のエンジンを1日中かけっぱなしにして常にエアコンを効かせて置くことで作業中に気分が悪いと感じた時にすぐに体を冷やすことができます。車には「熱中症対策車」などと明示しておくといいかもしれません。